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往生際の意味を知れ! 4巻まで

米代恭 (小学館 ビッグコミックス)

いまいち(-10点)
2023年6月23日
ひっちぃ

7年前に彼女に別れを告げられて以来ずっとあきらめきれずに想い続けてきた市松海路のもとに再び彼女が現れ、精子だけよこせ子供はこっちで勝手に育てるからと言われる。なんとしてでもよりを戻したい彼に対して余りにも重い真実が告げられる。少年マンガ。

日本テレビ「川島・山内のマンガ沼」で取り上げられていたほか、最近よく配信を見ているイラストレーターしぐれういまで勧めていたので気になって読んでみた。正直自分にはあざとすぎてダメだった。

この作品は物語の進行とともにさまざまな事実が明かされていくのが大きな魅力のはずなので、これもあまり言わない方がいいのかもしれないけれど、どんな作品かを説明する上で外せない事実が一つあるので言わせてもらうと、7年越しに主人公のもとに現れた彼女の目的は虚飾にまみれたエッセイマンガを描きながらドラマを求めて身近な人々を害し続ける実の母親に復讐することだった。

そんなわけで序盤主人公に対して意味不明な行動をとる彼女の理由が明かされるわけだけど、もうこの時点で納得できなかった。実母が食いつきそうな出産ネタを作るために子供を作るのは主人公に対して申し訳ないと思いつつ、自分がこれまで出会ってきた男性の中でもっとも信頼できる人だからと主人公が選ばれるのだけど、そんなドライな意志とは裏腹に主人公に迫られたら赤面するというちぐはぐさを見せる。でも最後は鉄の意志を持って主人公をはねのけ、再度距離を取り、自らの復讐のために突き進む。この不安定さが彼女の魅力なのかもしれないけれど、自分には頭のおかしい女にしか見えなかった。

主人公がかわいそうすぎる。学生時代、映画を作るサークルにいて映画を撮り続け、その一つが国際的な賞まで受賞するに至ったのだけど、彼女との急な別れによるショックで映画をやめて公務員になっている。そして七年もの間、彼女との思い出の品々とともに生き続けていたのに、しょうもない運命によりアパートごとそれらが燃え尽きてしまう。その上で再び現れた彼女に意味不明な行動をとられて翻弄されるだなんてもうギャグでは済まされない。

まあそれはいいとして(笑)、自分がもうこの作品を読み続けることはできないと思ったのは単行本4巻の分かりにくくて雑な展開が理由だった。これ以上ネタバレをしてまで語る意味はないのでここまでにしておく。人物描写も雑だし物語展開も雑だしそれでいてストーリーは複雑に込み入っているしで、百歩譲ってこの作品を楽しめるのは頭が良くて想像力豊かな人だけだと思う。

そんなわけで、自分は頭が良くて想像力が豊かだと思っている人は挑戦してみてはどうだろうか。決して応援はしないけれど。

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