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辛酸なめ子

まあまあ(10点)
2004年6月4日
ひっちぃ

エッセイスト・評論家・マンガ家。

ちょっと前に話題に上がっていて、私の愛読誌・週刊文春でも連載を持ったので、毎週読んでいる。掲載場所と絵づらがPRページっぽいところにあるので読み飛ばしそうになる。

私はその連載しかこの人の文章を読んでいないので、他のとこにはどんなことを書いているのか知らないが、多分大体同じような文章を書いているのだろうということで作者自体への評とする。

評論家として高い評価を得ている人は大体辛口だったりして、読者もダメな作品をこき下ろしてくれることを期待しているのだと思う。ところがこの辛酸なめ子は、読んでいる私からすると非常に微妙にうねうねした語り口で、対象を誉めもけなしもせず、全体ではなく個別のところを抜き出して、これはこうだあれはああだと言うスタイルをとっている。言えるのは、批評された側はまず怒ることはなく、苦笑する程度だろうということだ。どんなに悪いものでも、見方や使い方を考えれば適したところがある、といった感じだ。

私はこの人の文章があまり好きではない。毎週の連載は割とさっと読み飛ばしている。評論家として面白くないからだ。評論家というのはやはり個性も商品なのだ。個性も全面的に出すからこそ、対象をけなしてるとしか思えない評論もまた、ああこの人はこういう人だからこう思ったんだろうな、という受け取り方を読者はすることができる。仮に一つのものを多数の評論家が評論するとして、その中の一人がこの辛酸なめ子だとしたら、読者は彼女に何を期待するのだろうかと考えたとき、…うーん、まあ「バカとハサミは使いよう」的な見方をしてくれそうだということは期待できるにせよ、あとはどうなのだろうかと考え込む。

ただ、一つのキャラクターとして、辛酸をなめてきたっぽい人生経験から、あまり人のことを悪く言うもんじゃないという円熟味は分かる。そしてやはり実際に人気があるようなのだから、そういうものを求める人も多かったということなのだろう。

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