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Galaxy S3α(SC-03E)

Samsung(docomo)

傑作(30点)
2013年12月8日
ひっちぃ

いまや世界一の携帯電話会社となった韓国サムスン電子のベストセラーモデルS3のマイナーバージョンアップ版S3α。有機ELによる大きくて鮮やかなディスプレイが特徴。ドコモで契約できるのはドコモとの共同開発版(SC-03E)であり、ドコモからの注文によりワンセグチューナーが搭載されているなど、標準モデルと比べると少し差異がある。

2013年4月に新宿ハルクのビックカメラで新規一括1円で他に大したオプションなしで契約できた。もちろん月額料金は基本料として毎月最低780円はかかるし、2年縛りなので途中で解約すると一万円近くとられる。ドコモのデータ通信回線を使うつもりは毛頭なく、ポータブルメディアプレイヤーとして使い、半年後ぐらいにMNP(モバイルナンバーポータビリティ)で有利な条件で他社に乗り換えることを最初から考えていた。

一応補足しておくと、ドコモの場合機種代を「実質0円」と称して事実上二年間の分割払いにさせ、機種代がタダだと勘違いした客から通信費として毎月七千円ぐらい払わせ、そこから機種代をまかないつつ、代わりにネットほぼ使い放題のサービスを提供するのが通常のケースとなっている。このビジネスモデルで社員に高給を与えた上に年間数千億円も利益を出している。

しかし、売れ残って型落ちになってしまった機種は投げ売りせざるをえず、先の「実質0円」詐欺ではなく一括で契約することができ、契約したくないオプションをつけなくて済んだり、高い通信費をこれから払っていく代わりにキャッシュバックとして数万円程度のお金がもらえたりする。ちょっと正確じゃないけれど、いまの日本の携帯電話会社との契約はドコモに限らず大体このような感じになっている。今回自分が契約した機種も、そのような売れ残りの機種であり、2年縛りの契約をすることといくつかのオプション契約を結ぶことを条件に、たった1円で高性能な携帯電話が手に入った(事務手数料3,150円はあとで口座引き落とし)。

だから、一度契約してやっぱ気が変わったとばかりにサービスを解約すると結果的に高価な端末を安く手に入れることができる。ただし、あまりにすぐ解約すると次に契約する時に断られる場合がある。そりゃそうだ。電話会社の赤字になってしまう。

ところでこの頃ちょうどMVNOといって、総務省の指導でドコモが弱小通信会社に嫌々ながらレンタルしている回線を使って実現している通信事業会社のデータ通信サービスがあって、OCN(弱小でもなんでもないNTT系列の会社なんだけど)が価格破壊を始めて盛り上がっていたので、そのサービスを使って月々千円ぐらいで外出先でも高速でネットを楽しめるようになるんじゃないかということも見越していた。MVNOは端末を自分で用意しなければならないのだけど、一番安く高性能な端末を手に入れるにはドコモと契約するのが早かった。auやsoftbankの端末は基本的にMVNOでは使えないし(一部例外あり)。

いろいろ分かりにくくなってしまったので話をまとめると、ドコモと普通に契約して最新の機種で2年間データ通信サービスを使うと、初期費用は事務手数料ぐらいしか掛からない代わりに毎月七千円ぐらいかかるのに対して、機種だけ別途手に入れてドコモと契約せずにMVNOと呼ばれる通信会社と契約してデータ通信サービスを使うと、初期費用として機種を手に入れる必要はあるものの、毎月千円とか二千円とかで廉価なデータ通信サービスを利用することができる。ただし通信回線はドコモから借りているものなので速度や通信量が制限される。普通に使う分にはほとんど支障がないが、ネットで動画を見たりするのは厳しかったりする。まあそれはドコモと契約していても毎月7GBまでという上限があるので無制限ではないのだけど。

前置きが長くなり、端末ではなく回線の話になってしまったので話を戻すと、このS3αはとても完成度の高い素晴らしい機種だと思う。

4.8インチの大きな画面はハイビジョン1280x720の画面解像度を持っており、動画を再生すると映画でも特に不自由なく見れてしまう。電子書籍もはっきりくっきり読むことができる。有機ELは液晶と比べてクセはあるけれど濃厚で鮮やかな発色をしていてキレイだと思う。日本のメーカーは特にソニーあたりが最後まで研究を続けていたけれど、結局焼き付けが起きる問題を解決できず、また液晶の低コスト化と高画質化が進んでしまったためみんな研究開発をやめてしまい、メインモニタ用途としては結局サムスンぐらいしかやらなくなってしまった。焼き付けの問題は解決していないようなので日本のメーカーが撤退したのはいまのところ正解だったと言われているけれど、いままでいくつもの問題を乗り越えてきた日本のメーカーとしては少し寂しい気がする。プラズマも結局なくなったし。

CPUはなんと4コアとコア数だけ見るとPCと変わらない。ARMのアーキテクチャの自社開発CPUを使っている。Android OSはLinuxベースでJavaメインのプラットフォームなのでCPUパワーを無駄に食ってしまうのだけど、それでもソフトウェアのチューニングのおかげもあってわりとサクサク動いてくれる。Android OSはバージョン2.3から4になって色々高機能になったのだけど、4.0はまだ洗練されておらず動作がにぶい。このGalaxy S3αは4.1を搭載しているので反応がいい。 しかしiPhoneのiOSのほうがさらに反応がいいのだった。Androidは画面をスクロールさせるときに引っかかるような感覚があって多少ストレスを感じる。

メモリは2GB搭載で、ストレージは内蔵32GBとmicroSDカードで最大32GBを追加できる。iPhoneはストレージをあとで増設できないのでこの点は柔軟かつ低コストでよい。

ボディはプラスチックで高級感には欠けるけれど、手にフィットして持ちやすい。ただ、裏面がやたらと指紋まみれになって汚くなる。

PCとの同期ソフトが用意されているけれど、iPhoneのiTunesより低機能で不親切で扱いづらい。

で、入手してから半年以上たったいま、自分はこの機種をほとんど使っていないのだけど、不満があって使っていないのではなく、単に次のモデルであるGalaxy S4を手に入れたからだ。S4を入手していなければたぶんいまでも使っていると思う。S4は画面解像度がフルハイビジョン画質1920x1080になったのでさらに鮮やかになり、その他いろいろパワーアップしている。S4は世界的にはかなり売れているらしいけれど、日本では予想より売れなかったせいか早々に安売りされたため、S3αほどではないものの安価で手に入れることができた。ただ、S4はS3αと比べて飛躍的によくなったわけではなく、細かいところで迷走している部分もあり、S3αの完成度の高さが改めて分かった。

ただ、そんなGalaxyシリーズよりも台湾HTCのJ Oneのほうがさらに完成度が高かった。S4になってもまだスクロールがよく引っかかっていたが、J Oneはソフトウェアがよくチューニングされているのか、ほとんど気にならないレベルにまでなっていた。J Oneまで到達したことでやっとAndroidはiPhoneと誤差レベルまで追い付いたと思う。ただ、HTCは製造面が弱く、初期不良率が高いと言われている。また、経営幹部が相次いで社を去っており、会社が解散の危機を迎えているらしくて今後が不安である。

日本ではiPhoneのシェアが圧倒的で、確かに優れた面が多いのだけど、動画や電子書籍を見たりネットを楽しんだりするという目的に限れば、大きな画面とCPUパワーを持つAndroidの、特にこのGalaxyシリーズは良い選択肢だと思う。日本のメーカーもAndroidスマートフォンを出してきたのだけど、海外のメーカーと渡り合えていたのはソニーぐらいのものだと思う。ただ、ようやく今年の春モデルあたりから日本のメーカーも世界に追い付いてきたと言われており、これからが期待されている。

[参考]
http://www.samsung.com/jp/
galaxys3a/

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