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なぜ中国人は日本人にケンカを売るのか

孔健 (講談社+α文庫)

まあまあ(10点)
2008年3月15日
ひっちぃ

親日の中国人作家が、中国人と日本人の良いところ悪いところを比較して述べている本。

私は前にも同じ作者の本を読んだことがあり、日本に媚びつつも中国の弁護や日本への小言を織り交ぜているなあと、若干の心地よさのほかに奥歯にモノが挟まったような不快さを感じた。

そのときと比べると本書はだいぶ良くなっていると思う。中国の欠点を結構アケスケに語っている。また、中国人が日本に対して抱くプラスの感情も多く紹介されている。中国が徐々に強くなっていって余裕が出てきたというのもあるだろう。だが歴史問題については譲歩は見られず、普通の中国人と同じような主張をしている。

中国のチンタオにはこんな言葉があると紹介している。
「一流のリッチマンはブランド品を買いにジャスコ(日本のスーパー)へ。二流の人はカルフール(フランスのスーパー)へ。三流の人はウォルマート(アメリカのスーパー)へ。四流の人は国産のスーパーへ。五流の人は道端の店へ」
こういうのを聞くと日本人としてはニヤリとする。

一方で日本人の下半身の緩さについて批判もしている。日本企業による集団買春、女子高生の乱れ。中国の公安に揺すられて自殺した外交官も、公安の手口がどうこうというより外交官の問題であると言っている。まあ私も改めて考えてみると、この外交官は国を裏切れないから自殺したというより、不倫をバラされたくなかったことのほうが大きかったんじゃないかと思う。

中国の軍事費が増大していっているのは確かだが、表向きはまだ日本の軍事費よりも小さいと言っている。

中国の現状や中国人の気持ちをあっけらかんと分かりやすく伝えているという点で、とても興味深い本だと思う。日本人へのサービスにあふれている。一方で日本の乱れた風俗と歴史問題には苦言を呈している。この作者の主張には全部が全部うなずくことは出来ず、やはり読んでいて不愉快に思う点があるのだが、そこさえ除けば割と良書だと思う。

作者は最近の日本の中国バッシングで日本のテレビに呼ばれることもあるそうなのだが、そんな矢面に立って大変な思いをすると同時に、「ああ中国もやっとここまで来たか」と中国が日本にケンカを売れるようになったと感慨にふけったという。

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