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グリーンヒル
大学生の関口くんはある日バイクに乗った美女に一目ぼれし、彼女が所属しているというバイクチーム「グリーンヒル」に入ったが、彼が入ったのは分裂した別のチームのほうだった。そこは岡という三十過ぎでちんちくりんのリーダーが口では威勢のいいことを言いながら日々ファミレスで仲間とだべっているだけの集まりだった。ギャグマンガ。

大ヒットギャグマンガ「行け!稲中卓球部」を描いた古谷実が「僕といっしょ」でちょっと社会派なギャグマンガを描いたあとで、これまた別の角度からちょっと社会派なギャグマンガを描いたのがこれ。「僕といっしょ」に出てきたイトキンらしき人物が登場しており、一応の連続性が見られるが、描かれている内容は違っている。

美男美女がライダースーツを着てかっこいいバイクで一緒にツーリングしつつ夜はイチャイチャするという男の理想の世界があって、その理想に近づきたくても近づけない男たちが不平不満を言いあったり思い切って行動してみたり身の丈にあった中で人生を楽しもうとしたりするのがこの物語なんだと思う。

登場人物はみんなしょぼいのだけど、それでもなんだかんだでいい目にもあっている。唯一の例外がリーダーの岡で、遺伝子の敗北というかチビでハゲで毛深くて醜く、努力ではなんともしがたい容姿をしている。そのせいで性格もいじけてねじまがっている。こいつが実質的な主人公と言えなくもないけど、極端な例としているだけだと思う。

そんな岡のことをコンビニバイトの安田という一回こっきりの脇役が観察する「7年幼虫」という回があって、自分はこの作品の中で一番おもしろかった。この安田というのも岡と同じく遺伝子に恵まれない不幸な男なのだけど、こいつは岡と違って自分はやればできるんだと思っていて、いまの自分は本当の自分じゃないんだと自分をごまかして生きている。そんな男が自分をごまかすことに疲れた岡のことをあきれながら見ている。そして最後は現実を突きつけられる。

関口くんが横田ちゃんを邪険に扱っている場面にはちょっと違和感もあったのだけど、横田ちゃんは関口くんが理想とするミドリちゃんとは大違いだからしょうがないのかなとも思う。横田ちゃんもなんだかんだでそんな関口と一緒に行動しているし、実は最初から悪からず思っていたらしい。

この作品はスヌーピーの名言「配られたカードで勝負するしかないのさ」がテーマだと思う。のちの作品にもこのテーマが出てくるので、古谷実の作品全体のテーマの一つと言えるかもしれない。

前作に登場した(?)あのどうしようもない男イトキンも結婚して子供二人をもうけている。ぶさいくで気の強い奥さんだけど割れ鍋に綴じ蓋でなんだかんだでなかよく(?)やっている。子供たちもぶさいくだけど元気に育っている。

という社会派のテーマをギャグマンガで表現して笑いとばしてみせている。週刊ヤングマガジンという大手マンガ雑誌で連載されていたので多くの人を楽しませそして考えさせたと思う。くだらないギャグで終わる回もあったけど。自分はどうせモテないんだとひねくれてないで、やれる範囲でがんばって人生を楽しんでいこう!というウソくさくなりがちなテーマをここまで自然にエンタメ満載で描いてみせた、すごい作品だと思う。
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