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戦争から学ぶこと
アメリカはいままで、参戦するための理由をでっちあげるために、相手から攻撃してくるようにしたり、相手が先に攻撃してきたと主張してきた。だけど日本だってアジアを侵略してきたのだから、国に関係なく戦争から学びなさいよ、と言っている文章。

作者の筆致はアメリカに大いに厳しい。日本を責める部分は最後にちょろっとあるだけ。だが、どっちがどれだけ悪いという議論をするのではなく、悪い部分があったらとにかくそこから学びなさいよ、といういかにもな主張をしている。

真珠湾の一時間前にアメリカの駆逐艦が日本の潜水艇を沈めていたことが分かったときの日米双方の意見を最初に紹介している。アメリカ側の言い分は、侵入者を防ぐという当然の行為をしただけだ、というもの。日本側の言い分は、真珠湾は奇襲ではなくアメリカ側が先に攻撃を仕掛けてきたのだという従来の主張を裏付けたにすぎない、というもの。

この話はさらりと紹介されただけで終わっているが、私は一応踏み込んでみたい。この一時間というのは多分重要だと思う。なぜなら、攻撃を始めるまさに直前に宣戦布告しさえすれば、軍事行動をその前から延々と進めていたからといって、国際法違反にはならない。多分一分前でも問題ない。ところが、攻撃の一時間前にアメリカ軍が何らかの形で日本軍を攻撃していたということは、その宣戦布告を行う前にやっちゃったわけなので、アメリカが最初に攻撃してきたという言い分は立派に成り立つ。日本側が宣戦布告を伝えるのが遅かったというミスと同レベルのものだ。双方のミスを比べてみると、アメリカ側のミスの方が大きい。北朝鮮からのものと思われる工作船を、相手を確認するまえに侵略者だと判断して撃沈してしまうようなものだ。アメリカ側の言い分は、今の日本が工作船を撃沈したと仮定したときの主張と多分同じで、普通のアメリカ人が自分たちは決して悪くないと考えるのも無理はない。

作者は、日本がアジアを侵略していなければ太平洋戦争は起きなかった、同じくそれらの国を侵略しようとした米国の野望と衝突することはなかった、と言う。それはまあ正しいだろう。では、戦争が起きなかったらどうなっていたか。作者の論に従えば、「それらの国」をアメリカが侵略したというだけの話になる。戦争は起きなくても、それで良かったのだろうか。私は、戦争はするべきだったとまでは言わないが、事実はそう言わざるを得ないところにあると思う。

最後に作者は、真珠湾はどっちが悪い、南京では何人が、慰安婦は何人がどうこう、といった細かいことではなく、日米双方がやった事実を「精査」して語り継げと言っている。「精査」とは「詳しく調べること」なので、どうも言っていることが矛盾している。だが、作者の言いたいことは多少は分かる。アメリカによる空爆で日本の市民が何十万人殺されたことをもっと語り継げ、ということだろう。日本の教科書には日本がアジアを侵略してきたと書いてあり、もう既に語り継がれているから、作者が日本のことも語り継げと言っているのは作者の偏向(現在の国際世論もそう)あるいはバランス主義だろう。

作者の主張は矛盾や無知にあふれているが、アメリカの攻撃的な歴史については簡潔によくまとまっていて気に入った。そんなに長くない文章なので読んでみて欲しい。それはいいとして、とにかく作者はまず日本の現在の歴史教科書を読んでみるべきだ。
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