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人類は衰退しました 5
人類が衰退して人口を大幅に減らして村社会に生きている空想未来の地球は、代わりに妖精さんという超現実的な存在が支配していた。そんな妖精さんと関わる国際公務員となって日が浅い女性が主人公の、すっとぼけた啓蒙的SF小説シリーズの5巻目。今回は主人公の女性の学生時代のエピソードと、妖精さんの謎の小道具が巻き起こすレトロゲームのパロディの中篇二本。

学生時代のエピソードがとても良かった。本編ではとてものんびりしたずぼらで大柄の女性として描かれている主人公が、学生時代は孤独を飼っている内向きでマイナス思考の少女で、入学早々に謎のいじめに遭って一人で耐えたり、手を差し伸べてくれたクラスメイトを疑ったりする。そこから急に状況が変わり、いままで人気ものだった活発な少女がちょっとした理由で転落する。一方で主人公は校内でステータスの高いクラブに招待されて人気者になる。しかしそのクラブの正体が…。

読み終わって振り返ってみるとストーリーが結構むちゃくちゃなのだけど、登場人物の切羽詰った本気感がすごくて、この超現実がとても魅力的に思える。なんだろう。学生時代ってこんな風にみんな本気だったと思う。大きくなった大人の作家が学生時代を理想化して余裕たっぷりに描いているような作品が多い。そっちはそっちで素晴らしい世界なのだけど、やっぱりこの頃というのは後ろめたくてあけすけには語れないものだと思う。この作品は、筋書きに関しては非常にありえない話なのだけど、主人公の感情の発露がとても魅力的でグッとくる。本編とのギャップもいい。

でももう一本の中篇はいままでで一番つまらなかった。レトロゲームのパロディだけで成り立っているような作品だから、文芸的な遊びを楽しめる人じゃないとつまらないと思う。私はこういう作品が大嫌いだけど、楽しめる人もいるんだろうなとは思う。

本編ではもう今回のような熱い学生時代の話は語られようがないから、この人の別の作品に期待するしかないのかなあ。それが残念と言えば残念だけど、本編は本編で主人公のすっとぼけた感じがいいので続きが読みたい。
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